350、遺せなかった公正証書遺言

2022年04月18日

末期がんによる余命宣告を受けた杉本さん(仮名)から、「公正証書遺言を作りたい」とのご相談がありました。
 お会いして色々と話しを伺うと、現在がんセンターに入院中の杉本さんは58歳と若く、ご自身も看護婦としてこれまで多くのがん患者を診てこられましたが、実際に自身が「がん」になるとは想像もしておられませんでした。
 がん宣告を受けた当初はとうてい「死」を受け入れられず、悩み苦しい日々を過ごされてきましたが、最近になってようやく「死」と向き合うことが出来るようになったということでした。
 
 杉本さんはこれまで婚姻したこともなければ子供もなく、今後のこともようやく前向きに考えられるようになった中で、ご自身の相続の際には兄弟・甥姪を含め総勢13名が相続人になる事を知りました。また、兄弟の中には認知症の相続人がおられ、相続の際には大変なことになると思い遺言書を遺したいということでした。
 具体的な話しを進める中で、財産の引継ぎに関する内容はおおよそ決まっていましたが、それ以上にご自身が末っ子として生まれ、兄弟から可愛がってもらったことへの感謝の想いの大きさが話しの端々から窺えました。
 そこで、「公正証書遺言に付言事項を加えて、想いを伝えては如何ですか?」とご提案したところ、杉本様はさっそく作りたいと言うことで、公正証書遺言の作成にあたっての必要書類を揃えることと併せて、付言事項に記載する「想い」を考えて頂くことになりました。

 それから10日後、杉本さんから「必要書類と付言事項に記載したい内容が決まりました」とのご連絡を頂きましたので、早速入院先にお伺いしましたが、抗がん剤治療の影響もあってか、そこには先日お会いした際の杉本様とは別人の様に痩せ細った姿の杉本様がいました。
 これはまずいと思い、早速公証人と打合せを進め、署名日を設定することにしました。 
 署名日はそれから一週間後となり、公証人にがんセンターまで出張をして頂きましたが、がんがさらに進行しており、また運悪く抗がん剤の点滴の後だったこともあり、杉本様の意識が朦朧とする中で、遺言内容に関する意思表示できない状態でした。
 公証人からは「日を改めて署名をしましょう。」と言うことで、残念ながらその日は遺言書への署名をすることが出来ない状況となりました。
 それから3日後、相談の際から同席されていた姪の方から、杉本様が静かに息を引き取ったとの連絡を頂く結果となりました。
 結果的に、公正証書が無い状況で杉本様の相続手続を進めました。
 実際には遺せなかった公正証書ではありますが、付言事項に記載しておいた杉本様の「想い」を相続人皆さんにご案内したところ、誰もが涙ながらに杉本様の想いを受け止められ、手続きもスムーズに終わりました。
 今回の杉本様の件から、元気な時に遺言を作成することの大切さを痛感すると共に、相談員として「想いを伝える相続」に携わることの大切さを痛感する事例となりました。

【付言】
A兄さん、B兄さん、C子さん有難うございました。心より感謝しております。
何のお返しも出来ぬままですが許して下さい。
A兄さんには子供の時から何時も見守ってもらっていた様な気がします。ありがとう。
B兄さんは年が近いせいか想い出も沢山あります。ありがとう。
C子さん、グリーンのマフラー、オレンジ色のセーター、えんじのアンサンブルは私の宝物でした。ありがとう、
最後に一言は難しいですが、私には感謝の気持ちが一番ですので素直に気持ちを書いてみました。
今後のことをお願い致します。

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