相続コラム
2024/12/09 相談事例
死亡後に作成された定期預金
ご夫婦で、よくセミナーに参加してくれていた中村様(仮名)のご主人が亡くなりました。相続人は奥様、長男、長女の3名で、生前のご主人の意向もあり「財産は全て奥様が相続する」という内容で遺産分割もまとまり、スムーズに手続きに進みました。
早速、Y銀行の通帳をお預かりし預金の払戻しの手続きをはじめたところ、なんとご主人の通帳に、死亡後の日付で定期預金が2本作成されていたのです。
とりあえず、お預かりした通帳をY銀行に持参しその旨を伝え依頼書と併せて提出しましたが、死亡後に作成されるはずのない定期預金が作成されているため、手続きは一旦保留となりました。
数日後、Y銀行から電話があり、「通常の手続きの書類と別に必要な書類をご準備いただきたい」とのことで、死亡後に定期貯金を作成した窓口まで、直接説明を聞きに出向きました。
Y銀行の説明では、「ご主人の死亡の事実を知らない状況で、顔馴染みの奥様がご主人の通帳と届出印を持参して定期預金の作成に窓口に出向かれた場合、手続きをしてしまうケースもある。」と言う何とも曖昧な回答でした。
とにかく払戻しの手続きは、死亡後に作成した定期預金を普通預金に差し戻し、その後に通常の相続手続の流れになるという事で、通常の相続手続きの書類に追加して、相続する奥様からの簡単な事情を記載した書類と、そのY銀行以外の財産のわかる書類(名寄帳など)と窓口の方で状況の説明を書いた書類を添付して、約1ヵ月で無事に手続は完了しました。
顔馴染みという事で本人確認を怠ったY銀行にも問題はありますが、おそらく奥様の考えは「定期預金が満期になって普通預金に入金されたから、もう一度定期預金にしよう!」という様な単純な考えだったようです。
「中村さん、あんなにセミナーに参加してくれていたのに…」
もう少し、セミナーでしっかりと伝えようと心に誓いました。 (465)