相続コラム
2025/05/12 相談事例
スムーズな手続き ~海外にお住まいの相続人~
亀井さん(仮名)ご夫婦が、年末に相談にお越しになりました。
お二人とも平日は、仕事で帰宅も遅く、ご自身では相続後の必要な手続きもわからず、銀行等に出向くことが困難ということで、全ての相続手続きを依頼する旨の申し出がありました。
お亡くなりになられたのはお父さんで、相続人はお母さん、ご相談者で長男の亀井さん、海外在住の弟さんの3名です。お母さんは施設に入居(少し手足が不自由だが意思判断能力はあり)、弟は仕事の関係で外国住まいで住民票も日本にはないという事でした。
まずは、遺産分割内容について亀井さんのご意向を伺ったところ、不動産はお母さん、他金融資産は亀井さんと弟で2分の1にしようかな…というお考えがあるとおっしゃられました。
センターからはお客様の状況をなるべく正確に把握し、今後少しでも安心していただけるよう、2,3質問をさせていただきました。
お父さんの相続財産の不動産(ご自宅)には、お母さんが施設から戻るような状態ではないこと、亀井さんも弟もそれぞれご自宅をお持ちであり、ご実家に戻る予定はないこと、を確認できました。
そこで遺産分割についての一般的な考え方、過去の経験則で、次のようなお客さまもいらっしゃる旨、ご案内しました。今後のお母さんの施設の費用などを考慮すると、金融資産はお母様、不動産は売却し、その売却代金を亀井さんと弟で分ける方法もある、とお伝えしました。どういう分け方がベストかは、それぞれのご家族(相続人)のご事情等による為、よくお考えいただき、お話合いいただくようアドバイスしました。
また、相続の手続きには相続人全員の印鑑登録証明書を遺産分割協議書に添付する必要があり、外国在住の弟には、日本の印鑑登録証明書の代替の方法を下記2通りご案内しました。
①領事館でサイン証明(署名証明)を取得いただき、郵送で対応する方法
②一時ご帰国の際に、公証人役場で私署証書の認証をすること
この方法が、印鑑登録証明書と同じ効果があることもご紹介しました。
公証人には予め確認を取った上で、一時帰国の場合はセンターより公証人へのアポイントや同行等、段取りを担う旨や、費用や労力も前者より軽いであろう旨をご説明しました。
その後、弟の年末年始の帰国は無理だが、2月頃にはご帰国されると伺い、それまでに遺産分割協議のお話をしていただくことで、スケジュールと手順、必要な書類、費用等をご提示しました。スムーズにお手続きができそうなことに安堵されたようです。
遺産分割のお話合いの結果、お母さんには金融資産すべて、不動産は亀井さんが相続し、売却後に諸費用等を差し引き2分の1相当額を弟にお支払いすることで最終決定となり、お母さんも安心されたとご連絡ありました。
亀井さんも弟も、お忙しい中、遺産分割協議書のご署名、ご捺印、公証人役場での認証の終了、不動産・金融機関各種名義の書き換え等のお手続きをし、また不動産も買い手がすぐに現れ売却することができ、現金化することで、無事相続手続きが全て完了しました。