相続コラム
2024/10/28 相談事例
実家の土地に、今はないはずの家があることになっている?
半年前にお父様がお亡くなりになり、ご相談に来られたAさんのお話です。
お父様の財産を調べたところ、地元の金融機関の預貯金・昔から代々住んでいる実家の土地・30年前に建て替えをした自宅をお持ちになっていました。
預貯金はご自身で手続を済ませており、実家の土地・建物の名義変更手続を行うことになりました。
手続を進めるにあたり、自宅の土地上の建物の登記簿を調べたところ、該当する建物が2軒出てきました。実際にAさんの自宅に伺ったときは建物が1軒しかなかったはずですが…。
登記の内容を確認すると、一軒は現在住んでいる自宅の建物。もう1軒は30年前まで住んでいた以前の自宅の建物でした。Aさんに確認したところ、以前の建物は既になく、現在の自宅を建てる時に取り壊しをしているとのことでした。
そこでAさんに質問してみました。
相談員 「昔のお家を取り壊した時に建物の滅失登記をしましたか?」
Aさん 「当時の解体業者に頼んで壊してもらって、それだけしかしていないよ。滅失登
記って何?」
建物の滅失登記とは、建物がなくなった旨を登記するもので、解体後1か月以内に行わなければなりません。しかし、解体業者に依頼しても建物滅失登記をされていない事が多く、その結果今回のように登記上建物が残ったままになっていることを、相続手続の時に気が付くことがあります。
滅失登記をしておかないと、土地を売買する際や金融機関から土地を担保に借り入れをする際に問題が発生したり、固定資産税の課税台帳に建物が残ったまま、税金がかかってしまうことがあります。(登記されていない建物であっても、市町村役場に届け出をしないと固定資産税の課税台帳に建物が残ったまま税金がかかってしまうことがあります。)
また、解体後数十年経過した建物をさかのぼって滅失登記をしようとすると、業者が倒産していたりして手続が複雑になることもあります。
Aさんも今回を機に土地家屋調査士に依頼し、以前の建物の滅失登記を行いました。近い将来、今の自宅を取り壊して息子と同居する二世帯住宅を建てたいと考えていたため、今のうちに気が付いて整理ができて良かった、とお話しされていました。
不動産の手続の際には相続登記とあわせて、今回の建物の滅失登記の確認や金融機関の担保の設定が残っていないかの確認など、やり残したことがなかったかを確認することも、後の代へスムーズに相続する上では大事なことです。 (459)