相続コラム
2025/10/20 相談事例
実家を出た長女の悲哀
山口さん(女性)は、結婚して実家から出た長女です。山口さんの実家は、両親と兄夫婦の四名で生活しており、お父様はアパートを経営し、その事業を兄が引き継いでいました。
この度お父様が亡くなったため、お父様の資産を相続することになりました。
法定相続人は、お母様とご自身を含めた子供二人の三名と思っていたところ、お兄様の娘さん二人(山口さんから見て姪にあたる)が、お父様との間で養子縁組がされていることを知りました。
結果、子供の数が4人になり、山口さんの法定相続分が1/4から1/8になります。
お兄様にこの点を質したところ、「アパート経営の資産のやりくりが大変で、生前にお父様と相談して相続税対策のため、娘二人を養子縁組させた」とのことでした。
相続税の基礎控除額を算出する場合の養子の人数は、被相続人に実子がいる場合には、最大一人までしか認められないので、相続税の基礎控除額計算上は、養子が一人でも二人でも変わらないことになります。にもかかわらず、娘二人を父の養子に出すとは・・・。
実家の事業の大変さを理解しつつも、兄方との間での相続の配分が大きくバランスを欠く結果になったことに不満を感じつつ、実家をあとにしました。
このようなケースの場合には、お父様が亡くなる前に娘さんおひとりの養子縁組を解消してもらうか、あるいは実の娘である山口さんにも十分配慮してもらう遺言をお父様に書き残してもらうことをお勧めします。
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