相続コラム
2025/09/22 相談事例
母親が相続放棄できない理由
長男浩史様が、不慮の事故で亡くなりました。
未婚で子供のいない浩史様の相続人は、母親のやす様一人です。
浩史様の父親である恵一様は30年前に亡くなりましたが、恵一様には認知をした子供がいて、「相続では大変苦労をした」とやす様から聞かされました。
浩史様の相続については、「老い先短い自分は、子供の財産など欲しくはないので、相続放棄をして娘の久美(浩史様の妹)に全部引き継いでもらいたい」と、相続放棄の申述書を準備していました。
高齢の親が相続人の場合、生活が安定している事などを理由に相続放棄をするケースはありますが、浩史様の相続に関しては、やす様が相続放棄をするととても厄介なことになります。
第二順位のやす様が相続を放棄すると、相続権は第三順位の兄弟姉妹に移ります。
浩史様の第三順位の相続人は妹の久美様だけではなく、父恵一様が認知をしている子供(異母兄弟)も相続人になります。
やす様にそのことを説明すると、「冗談じゃないわよ!私たち家族を苦しめた人たちに浩史の財産を相続する権利があるなんておかしいでしょ?」と驚きと怒りで語気を荒げました。
今回はあわやのところで相続放棄を阻止することができましたが、もし相談に来られず自分一人で判断して手続きをしていたら、やす様は相続放棄をしてしまったかも知れません。
後になってそのことに気づいても、相続放棄は取り消すことは出来ません。
無料専門家への相談は出来るだけ早い段階で利用してもらうことが重要、と痛感した一件でした。