相続コラム
2025/06/02 相談事例
被相続人が朝鮮籍だった内縁の妻
Aさんからご連絡をいただいたのは、ご主人のご葬儀が終わった後です。
色々お話を聞いてみると、
① 亡くなったご主人は在日朝鮮人(朝鮮籍)である事
② よくよく聞いてみると入籍はしておらず内縁関係のままである事
③ 被相続人には子供がおらず、Aさんとの間にも子供はいない事
④ 口づてに被相続人に兄妹がいるらしい事は聞いている事
などの話が出てきました。
財産に関しては、ご主人(内縁関係ですが、便宜上この表現を用います。)名義の預金口座が一点のみ。不動産や年金、生命保険などはありませんでした。
Aさんは、年金の受給資格を満たしておらず、生活はご主人名義の預金(約400万円)で細々と暮らしていました。ライフラインである預金の凍結は生活に直結します。
現在は、多少ですが蓄えがあったので、その蓄えでどうにか生活している状況でした。
このような状況ですが、残念ながら内縁関係のAさんは、相続人ではないため相続財産を取得する事は難しいと思われました。
相続人不存在による特別縁故者などの手続が可能性として考えられたので、戸籍収集等を司法書士に依頼しました。しかし、手続きに時間がずいぶんかかることが予想されるため、当座の生活を維持する必要があります。
そこで、Aさんには、生活保護の申請も視野に入れるべきだとお伝えしました。
その結果、役場の方と弁護士(役場の無料相談)に協力してもらい、生活保護申請に関して手続を進めていただく事となりました。
この結論に至るまでに、各専門家に意見を求めましたが、やはり内縁関係の者が相続財産を取得する事は非常にハードルが高いと痛感しました。
相続発生後ではどうしようもない事があります。
今回の場合、生前にご相談をいただければ、遺言や生前贈与などの方法をお勧めする事でAさんに容易に財産を引き継ぐことができました。生前に専門家に相談することが大切です。
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