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相続コラム

2024/11/25 相談事例

農業特有の相続手続き

「父が亡くなり、何からしていいかわからなくて…」とAさんから電話があり、ご自宅に相談に伺いました。

相続人はAさんと弟の2人です。お父さんは、10年以上前にお母さんを亡くされてから、ずっと一人で稲作を中心に農業で生計を立てていました。

お父さんが亡くなったのが3月中旬で、これから田の整備等をはじめて、田植えに備えようかという時期でした。これから収穫という時期でなくてよかったとAさん。お父さんは脱サラで農業を始めて、Aさん達兄弟は農業のことは何もわからない状態です。

 

相続手続きのご依頼をいただいて、財産調査とすぐできる手続きを同時並行で進めました。お父さんの取引先はJA、出荷契約をしている地元問屋、スーパーなどでした。各取引先に未処理のことや取引上必要な手続きがないかなど確認して回りました。

亡くなったのが、ちょうど出荷時期ではなかったことなどから、取引上はそう問題はありませんでした。

 

次に、通帳の取引履歴などから、支払いがまだの先、入金がまだの先などないか調べました。保険、農機具の修理・購入、生活上の主とした引落などJAと取引しており、JAの担当の方が丁寧に対応してくださり、一つ一つ完了していきました。

 

しかし毎年「組合費」という支払いがあり、何なのかJAでもわかりませんでした。

どうしようもなく、近隣の家々の方に聞いて回ったところ、ある農業法人ではないかということで、連絡したところビンゴでした。組合退会により出資金が戻り、未払い作業料金を入金していただきました。

 

もう一つ、「積立金」という支払いも何なのかわかりません。それらしい書類も見当たりません。ネット等で色々調べると、収入減少等に備えるため、積立てるもので、農政局で手続きを行う交付金積立ではないかということになり、確認したところビンゴで、今後もう農業はしないので、返納してもらいました。

 

一通りの手続きが終わり、Aさんに報告しました。農産物を黙々と作って売っているだけだと思っていたけど、ずいぶん手続きがあり、取引先も思ったより多く、農作業以外にもやることがずいぶん多いのだとAさんは驚かれていました。

 

「農業ってむずかしいね」とAさん。自分もお父さんを引き継いで農業をするには、覚悟がいるねとおっしゃっていました。  (464)

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