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相続コラム

2024/07/22 相談事例

448、認知の記載がないので戸籍はお出しできません

生涯独身でお子様もいらっしゃらないX様が亡くなりました。

X様は生前から自分が亡くなった後のことを心配され、母方の遠縁にあたるA様を遺言執行者とした公正証書遺言を残したとのことで、その遺言執行者であるA様が今回のご相談者です。

お話を伺ったところX様には兄弟もいらっしゃらないとのことでしたが、生前「私の両親は結婚をしていなくて、私は父と会ったこともないが、どうやら父には本妻との間にも、それ以外にも子供がたくさんいるらしい…」という話をされていたそうです。

A様も「Xさんのお父様はその当時の財界の大物で、当時は大変な財を成した人だということを聞いたことがあるので、Xさんの知らないところにたくさん兄弟がいてもおかしくないと思う」とのことでした。

 

X様の相続人を確定するために、まずは本籍のある甲区役所にX様の出生から死亡までの連続した戸籍を請求しました。取得した戸籍には、A様のいうとおりX様はお父様から「認知をされている」という記載がありました。

次にX様の戸籍に記載のある「認知」の情報から認知者であるお父様の戸籍をたどり、お父様が亡くなられていることと、お父様の子供(X様の半血兄弟)を確認することで、X様の相続人の確定しようとしましたが、ここで問題が発生しました。

「認知者の戸籍」に記載された本籍のある乙区役所にお父様の戸籍を請求したところ、乙区役所から、「認知者とされるお父様の戸籍にはX様を認知したという記載がない」という理由により、お父様の戸籍を出すことができないという連絡がきたのです。

戸籍は大切な個人情報のため、申請があったからといっても、役所は本人やその戸籍を取ることに正当な権利のある人にしか戸籍を出すことができません。

 

今回のように、認知したことの記載がなければ、認知者との同一性が担保できず戸籍は出せないとのことでした。

そこで、甲区役所に連絡をし、事情を話したところ、甲乙の区役所間で話をしてくれることとなりました。後日、甲区役所から連絡があり、甲乙区役所間で話し合った結果、「旧民法下、まだ家制度だったころの戸籍では、認知をする父の側の戸籍に認知をしたという記載がされないケースがあり、今回はそのケースに該当したようだ」とのことで、改めて乙区役所に申請し、戸籍を出してくれることになりました。

 

時間はかかりましたが、無事にお父様の戸籍を取得することで兄弟13人の戸籍にたどりつき、相続人を確定することができました。

A様のように、被相続人とは遠い血縁で相続人が誰か見当もつかないという方が相続手続きを行うには、戸籍謄本だけが頼りになってくるのですが、古い戸籍には相続人確定の大事な記載がされていない場合もあるので注意をしなければなりません。

 

【参考資料】

全訂第二版 「相続における戸籍の見方と登記手続」 高妻新、荒木文明著

日本加除出版㈱発行 (P738~)より抜粋

 

旧法当時、家族たる嫡出でない子が、他家の戸主たる父に認知された場合、又は他家の家族たる父に認知された場合、その子の戸籍に変動を生じたか。

 

旧法当時、生来の嫡出子は出生により当然に父の家に入ったが、嫡出でない子は父の認知があったとき初めて法律上の父子関係が生ずる(旧民八三二条=現民七八四条)から、認知と同時に父の属する家に入るかどうかが問題となる。

まず、認知者が戸主である場合には、認知者側に入家の同意・不同意の問題はないので、被認知者側に他家に入ることのできない事由(例えば、他家の戸主又は婚姻、縁組によって他家にある場合など)がない限り、当然に父の家に入った(大正八・三・一三民五九八回答)。

次に、認知者が家族である場合には、その子の入家につき戸主の同意を要し、その同意があれば、子の側に他家に入ることのできない事由がない限り、直ちに父の家に入ることができた(明治三一・一二・二八民刑一六五九回答)。

ところが、父の家の戸主が、被認知者たる婚姻外の子を自己の家族とすることを好ましくないとして、その入家に不同意であれば父の家に入ることができなかった。したがって、この場合、子の戸籍に変動を生じないが、認知事項は被認知者の戸籍だけに記載され、認知者の戸籍には何らの記載もなされなかった。この認知者の戸籍に何らの記載をしない取扱いについて、戸籍訂正の対象にならない旨の大審院の判断が示されている。

なお、旧戸籍法当時でも、昭和二二年五月三日以降同年末までの間は戸主、家族、その他家に関する規定はこれが適用されなくなったので(民法の応急措置法三条)、父の認知によりその戸籍に入ることに戸主の同意を要しなくなった(昭和二二・四・一六民事甲三一七通達)。

 

※今回の案件は認知者(父)が戸主であったものの、被認知者がすでに実母の養子になっており、上記の「被認知者側に他家に入ることのできない事由」がある場合に該当したため認知者である父の戸籍にあらわれなかったケースに該当すると思われます。

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