相続コラム
2024/12/16 相談事例
家族信託で不動産の有効活用
8月4日、赤間さん(仮名)の旦那様は、病院のベッドで息を引き取りました。
旦那様は70歳、残された相続人は、68歳の赤間さんとお子様3人です。赤間さんは仙台に住んでいますが、子供達は、東京、名古屋と離れた場所で、それぞれ所帯を持っています。
葬儀、遺産整理の手続きが終わって一人になった赤間さんは、気が抜けてめっきり老け込みました。そして、いつ、どこに、何をしまい込んだかを忘れてしまう認知症の症状が現れたのです。「お金・通帳・貴重品」を失くしたと騒ぎ、タンスや引出しの中を1日中探し回ってしまいます。
ひとり暮らしの赤間さんを心配して、長男の聡さん(仮名)は、相続手続きの際、家族信託を作成しました。もし、赤間さんが認知症と診断された場合、自宅不動産の管理権を聡さんに移管する信託契約です。
夜中に徘徊する症状が出始めた赤間さんは、施設に入居することとなりました。
自宅は仙台市内の好立地だったため、自宅の借り手は難なく見つかりました。
聡さんは、公正証書で作成した「家族信託」を活用し、不動産屋で母親の代わりに自宅の賃貸契約を結ぶことが出来ました。賃料月20万円は、母親の施設入居費に充てています。
家族信託を結んでおけば、受益権を母親に残したまま、何かあった時は、長男が管理権を行使出来ます。家族信託契約があれば、認知症で不動産の契約が出来なくなった母親に代わり、長男が契約を結ぶことが出来るのです。
家族信託は、一般的にはあまり知られていませんが、上手に活用すると、有休不動産を上手に活用することが可能です。 (466)