相続コラム
2025/09/16 相続ガイド
相続ガイド④「財産目録の作成」

今回は亡くなった人の財産調査と財産目録の作成についてご案内します。
財産調査が中途半端だと様々なトラブルの火種になってしまいます。
残された財産を明確にすることで、相続人全員が納得できる相続にしましょう。
財産調査を怠ってはいけない理由
・借金があるかも → 相続放棄の検討
・相続税がかかるかも → きちんと申告しないと追加課税されるかも
・後で財産が見つかると → 相続人間でトラブル発生!
・借金があるかも
被相続人(亡くなった人)の債務を調査することで相続放棄すべきかどうかの判断をすることができます。プラスの財産よりもマイナスが多い場合、家庭裁判所へ相続放棄の手続きを行うと債務を相続せずに済みます。仮に家族へ借金を隠していた場合、財産調査を怠ると借金に気づかず、相続してしまう可能性もありますので、相続財産の調査は重要です。
・相続税がかかるかも
相続した財産から相続した債務を引いた金額が相続税の基礎控除額を上回る場合、相続税申告が必要となります。(※相続税については相続ガイド⑤でご案内します。)
相続税申告が必要となった場合、相続税の対象となる財産と債務を抜け漏れなく洗い出す必要があり、抜け漏れがあると税務調査が入り、追徴課税になる可能性もあります。
・後で財産が見つかると
遺産分割協議(相続人間での話し合い)を何度もやり直したり、相続人間でトラブルに発展したりする可能性があります。
遺産分割協議後に見つかった財産について分割方法を協議したり、後から見つかった財産によって協議内容をすべて覆す相続人が出てきたりする可能性があるため、初めから財産調査を細かく行い、トラブルが起こらないようにしましょう。
財産ってどのくらい種類があるの?
○プラスの財産例
預貯金・現金
不動産
有価証券(株、投資信託、国債など)
貴金属
美術品
自動車
家財道具
貸付金
生命保険(遺産分割の必要はなし)
×マイナスの財産例
借入金(住宅ローンやショッピングローン、クレジット残債務など)
未払金(公共料金や公租公課、医療費など)
保証債務
※見逃し注意!デジタル財産
電子マネー
ネットバンク・証券
暗号資産・仮想通貨
FX
財産調査って何をするべき?
① 遺品整理をしましょう。
遺品整理とは、被相続人の持ち物を整理し、部屋をきれいにする作業のことを指します。遺品整理をすることで、遺言書や預金通帳、株券、不動産契約書、身分証明書、印鑑、年金手帳、各種保険証券などを見つけられる可能性があります。
手続きに必要な書類もありますので、発見した書類を誤って捨てないように注意してください。相続財産を処分してしまうと、相続放棄ができなくなることがありますので注意が必要です。
② 通帳の取引履歴や郵送物、スマートフォンを確認しましょう。
預金通帳には様々なお金のやり取りが記載されており、固定資産税の引き落としによる不動産の有無、配当金による有価証券の有無、借金やローンの返済による債務の有無、家賃収入や事業収入などを確認できます。
被相続人の携帯電話やスマートフォン、パソコン、タブレット端末なども確認しましょう。通話履歴や受信メール、ブックマークや閲覧履歴を確認することで、被相続人が利用しているサービスなどを特定できる場合があります。
③ 資料収集や各種照会を行いましょう。
【 預貯金 】
取引している金融機関が分かったら、死亡時点における残高を確認します。
通帳記帳するか、残高証明書を発行してもらいましょう。
【 負債 】
負債がある場合、預金口座で毎月返済している記録があるかもしれません。取引のある金融機関を特定したうえで負債について調査するとスムーズです。
ただし、被相続人の自宅を捜索しても、すべての負債が判明するとは限りません。念の為信用情報機関に情報開示請求をしましょう。
信用情報機関とは、個人の借入情報を管理している機関です。
借入先の種類によって3つの機関で情報が管理されています。
借入先の種類 開示請求先
消費者金融 株式会社日本信用情報機構(JICC)
クレジット会社 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
銀行 全国銀行個人信用情報センター(全銀協)
【 不動産 】
不動産を特定するために、被相続人のご自宅に固定資産税納税通知書や登記済権利証(登記識別情報)、不動産取得の契約書などがないかチェックしましょう。
手がかりが出なかった場合、役所で名寄帳を申請しましょう。名寄帳とは、個人が所有している土地や家屋を一覧で確認できる書類です。土地・家屋の所在地はもちろん、面積や納税標準額、評価額なども記載されています。
※ただし、名寄帳には非課税の不動産が掲載されていない場合がある点と、当該市区町村に所在する不動産しか記載されていない点に注意しましょう。
相続税評価額は、国土交通省の土地総合情報システムや土地総合システム、国税庁の路線価などを活用すればおおよその額を算出することは可能です。難しい場合は、収集した書類に記載のある評価額を参考に想定してみましょう。
【 有価証券 】
郵送物やスマートフォンの記録から証券会社を確認し、死亡日時点における有価証券の残高証明書を取得しましょう。手がかりが出なかった場合、証券保管振替機構(ほふり)に情報開示請求を行って情報照会することも可能です。
【 その他 】
換金価値のある財産は相続財産の対象のため、調査をしなければなりません。貴金属や美術品、自動車、権利などの有無を確認し、それぞれの評価額を算出する必要があります。

相続人との協議に向けて、見やすく正確な財産目録を準備しましょう。
ご自身での確認が難しい場合は、是非当センターまでご相談ください。
財産が確定したら、気になるのは税金が発生するかどうかですよね。
次回「相続ガイド⑤」では相続税についてご案内いたします。
是非ご確認ください。







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