相続コラム
2024/07/16 相談事例
447、孤独死された方の相続人を誰も知らない…
昨年8月に自宅で孤独死をされたYさん。
親戚のMさんより、相続手続支援の依頼を頂いてから約1年がたち、ようやく全ての手続を終えることができました。Yさんには頼れる親族がいなかったため、やむなく相続人ではないMさんが葬儀費用等を立て替えていたのですが、年金暮らしのMさんにはその費用負担が重くのしかかっていました。
せめて未支給年金だけでも受け取って葬儀費用に充てたいと思っても、支給の条件を満たしていませんでした。困り果てたMさんと、Yさんの葬儀を行った葬儀社さんからの依頼もあり、相続人ではない方からの依頼を受けるという、初めての試みとなりました。
Yさんの相続人は、先に他界したYさんの兄の子ども(つまり甥)2名です。しかし、Yさんの兄は子どもが産まれて間もなく離婚されていたため、Yさんも付き合いは殆どなく、2人の現住所を調べる手段がありませんでした。
Mさんも親戚のつてを辿って、Yさんの兄の元妻の行方を捜していましたが、なかなか判明しない状況が続きました。
そこで弁護士に依頼し、遺産分割協議書作成のためとして戸籍をとり、現住所を把握でき次第、手紙を送ることにしました。弁護士の職権で戸籍を集めていき、2ヶ月ほどかけて無事2人の現住所を確認することができました。時を同じくして、Mさんが独自に調べていたルートからYさんの甥(Kさん)よりこちらに連絡があり、何とか相続手続を進める段取りが整いました。
その後は相続人であるKさんと、電話やメールのやり取りを通じて、総資産を把握、遺産分割協議書を作成して順次口座解約手続を行いました。
Yさんが30年以上住んでいたアパートの後片付けには遺品整理業者を手配、Kさんの了承を得た上でアパートを引き払いました。また、溜まった家賃や水道光熱費、長らく未納のままだった菩提寺のお布施や永代供養料の支払いなど、通常の支援センター業務を遥かに超える業務量でした。
Kさんも真摯に向き合って下さり、また遺産分割に際してもKさんの兄に少し多めに遺産を分けるなど、欲のない方だったのがせめてもの救いでした。