相続コラム
2024/07/30 相談事例
449、発見は一通の挨拶状から~互助会の返戻金~
阿部さん(仮名)のお母様は、隣県に一人でお住まいでしたが、突然心不全にて亡くなりました。
お父様は既に10年前に他界されており、一人息子である阿部さんが唯一の相続人です。阿部さんは幼い頃に視力を失くされ、また父方、母方の親族もいらっしゃらない事から、手続きをする上で頼る方も居らず相談に来られました。
面談をしていくとお母様は息子さんが全盲であるが故、財産である不動産は既にお父様の相続時に息子さんの名義に変更され、預貯金の通帳や生命保険の証書等はまとめて保管されておりました。しかしながら、お母様は一人で住まわれておりましたので、後日お母様のご自宅にて再度調査をすることになりました。
阿部さんと共に、段ボール箱約5箱分の書類をひとつひとつ調べていきました。確認できていた生命保険会社の他に、もう1社別の保険会社の書類が見つかりましたが、既に数年前に解約されていることがわかりました。
書類の最後のほうで手紙や挨拶状などがあり、その中の一通に葬儀社からの挨拶状があり、そこに「会員のかたへ」との文面があったことから、その葬儀社を調べました。その葬儀社にてお母様が互助会の会員になっていることが判明し、解約すると30万円程の返戻金があるとのことでした。
阿部さんは「こんなところから財産が出てくるなんて」と喜んでおられました。
いま振り返ると、あの時あの挨拶状を見逃し処分してしまっていたら返戻金は戻ってこなかったかもしれません。そうならないために財産を調査するときに見方を変え、じっくり細部まで良く目を通すことが大切だと思いました。
また、阿部さんが全盲であるために金融機関、生命保険会社の対応はそれぞれ違いましたが、その後手続きをするにあたり相談員と依頼者が同行することにより、代筆承諾書等の書類は書かされましたが、本人確認がその場でできるためスムーズに行えました。