437、戦災復興地域の不動産

2024年3月18日

亡くなった母の相続手続きの為に、長男のAさんがご相談にこられました。
資料を見る限り、不動産の登記と預貯金手続きに公共料金の引き落としなどの変更といったごくごく一般的な手続きで、相続人もAさんとそのお父さんのお二人だけ。
特に遺産分割でもめる要素もなさそうで、Aさんも「父ときちんと話ができれば手続きもできそうですね」と安心した様子でした。
 持参された戸籍では、手続きをするにあたっていくつか足りないものがあったので、センターとしての事前調査をAさんにご提案し、念のため不動産もきちんとお調べすることになりました。

 調査を開始し、戸籍関係についてはそれほど大きな問題もなく相続人の確認も終わり、不動産の確認のために、市役所の固定資産評価証明書を取得しました。
すると「登記地積と現況地積」の表示が違ったのです。
最初はちょっとした違和感だったのですが、調べていくうちに市役所の担当者から「戦災復興地域内の不動産ですね」という言葉を聞かされました。
 詳しく聞いてみると「戦災復興地域」とは、次のような地域です。
終戦間際の空襲(福山市の場合は8月8日)により市内中心部の多くが焼け野原になり、終戦後の復興事業のなかで土地の区画整理が行われました。しかし区画整理対象の不動産が共有不動産であった場合は、市役所が固定資産税の課税方式について共有者に問い合わせをしたそうです。その時に「共有持分による固定資産税の個別課税・納付」を選択された場合、その不動産の持ち分相当の地積と評価額を算出し、それに基づいて個別で課税することになったそうです。
 つまり、固定資産評価証明書に記載のある土地については、単独の表示のように見えますが、共有不動産で、表示されている評価額はあくまでもその持分割合に応じた評価額になっているという説明でした。このような土地のある地域を、戦災復興地域というそうです。

説明を聞いた足で法務局に行き、表示されている不動産の登記事項証明をとると、確かに所有者の欄は被相続人を含む共有名義となっていました。
しかし、そこでさらに驚くことが。
その不動産に被相続人が抵当権を設定していたので調べてみるとその不動産以外にも同じ地域内に同じ共有割合で、同じ共有者で保有する別の不動産があることが分かったのです。新たに分かったその不動産は、固定資産評価証明書に記載されていないものでした。
 市役所の担当課に再度確認を取ると、「同じ共有持分で同じ共有者の場合はまとめて表示しており、それぞれの不動産の評価については、共有者全員の委任状があれば開示します」とのことでした。
 今回は事前調査の中で「固定資産評価証明書」の記載内容についての些細な疑問から、このようなことが判明しましたが、司法書士に確認したところ、「自分もこのようなケースは聞いたことがない」とのこと。
「相続登記の場合、司法書士の書類確認は固定資産評価証明を確認するが、権利書まで確認したりはしない場合がほとんど。今回のようなケースでは、固定資産評価証明書で見たとしても、気づかなかったかもしれない」とのお話でした。
 Aさんからは、登記漏れが防げてきちんとした登記ができ感謝されましたが、一歩間違うと忘れさられてしまう不動産となってしまう可能性もあり、事前調査の重要性が再認識された事案でした。
固定資産評価証明書で、「登記地積と現況地積」の表示が違う場合は、要注意です。

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